皆様こんにちは。
個別総合学習リアライズ、塾長の大西です。
東京オリンピックも無事に閉会し、もうすぐお盆ですね。
今年は昨年とは違い、地元に帰省する方が多いとニュースで聞きました。
しかし、まだまだコロナが収まったわけではないので、油断はできません。
私も勿論ですが、皆様も十分に気を付けてお盆休みを楽しみましょう。
さて、今回の記事は、意外と知っているようで知らない、「大阪府公立高校入試のシステム」についてです。
なんとなく、学校の成績と入試当日の点数が重要だということは知っている方が多いと思いますが、今回は詳しくその辺りを解説していこうと思います。
是非最後までお付き合いください。
① 公立高校入試の「種類」と「受験教科」
まず、大前提として、大阪の公立高校入試は2つのパターンに分かれています。
1、一般選抜(5教科or3教科の学力検査と、学校の内申点・調査書で合否が決まる入試方式。)
2、特別選抜(美術や体育、音楽等の実技試験・面接を含む入試方式。)
上記の2方式です。
「一般選抜」が皆さんが想像する高校入試のことです。
(「特別選抜」は学校によってシステムが異なりますので、今回は割愛させていただきます。)
受験教科は「国・数・英・理・社」
「理・社」は共通問題、「国・数・英」は各高校毎に「A問題(基礎)・B問題(標準)・C問題(応用)」
と高校のレベルによって問題が変わるシステムを取っています。
例えば、「刀根山高校」は国・数・英全てB問題で、「北野高校」は全てC問題です。
ですから、「公立高校入試」と一括りにしても、高校によって問題の難易度は変わってくるんですね。
ちなみに「池田高校」は国・英はC問題、数はB問題を採用しており、このようなミックス型の高校もよく見られます。
また、入試日は毎年3月4・5・6日であり、私立高校の2月10日と比べると、1か月近く後になります。
早めに自分の第一志望とする公立高校を決めて、その高校がABCどの問題を採用しているか調べておけば、入試対策も人より早く始められるというわけです。
② 「内申点」とは
「一般選抜」には「国・数・英・理・社」の学力検査以外に、「内申点・調査書」というものが必要になってきます。
(ちなみに「調査書」は学校生活や活動を学校側が生徒毎に評価した書類のことですので、今回は割愛します。)
内申点とは、通知表の1~5段階の成績を元に算出する点数のことで、
大阪では平成28年度から、通知表の評価方法が「相対評価」から「絶対評価」に変わりました。
「相対評価」というのは、例えば、評価「5」をもらえるのはクラスに3人と決められていた場合、その決められた3人以上はどうやっても「5」の評価がつかない評価方式のことです。
テストで100点、99点、98点の生徒がいて、自分は97点だった場合、自分の評価は「4」になってしまうんです。
クラス全体を「相対的」に見て、生徒がどの位置にいるかで評価するのが、「相対評価」と言われていたものです。
「絶対評価」とは、簡単に言えば、90点以上取れれば誰でも「5」をつけるという評価方法です。
「ということは、今までよりいい評価が取りやすくなったんじゃないの? いいことなのでは?」
と思われるかもしれません。
がしかし、実のところ、この「絶対評価」は必ずしも受験生にプラスに働くというわけでもないんです。
評価が甘くなった一方で、絶対評価のデメリットは2つあります。
■トップクラスの生徒の内申点に差がつかなくなるため、入試本番の学力試験の比重が重くなった。
■相対評価の時は生活態度や提出物等は内申点算出の参考程度だったが、絶対評価では「試験の点数+生活態度や提出物等=評価」となる為、試験の点数だけが良くてもいい評価がつかない。
(逆に言えば、試験の点数が低くても、提出物をちゃんと出していれば、「オール3」は取りやすくなったとも言えますが。。。)
また、試験当日の点数と、内申点をどのくらいの比重で判断するのか、ということですが、判断する型は全部で5つあります。
タイプ | 試験当日の点数:内申点 | 計算方法 | 偏差値 |
Ⅰ型 | 7:3(630:270) | 「450×1.4」:「450×0.6」 | 高い |
Ⅱ型 | 6:4(540:360) | 「450×1.2」:「450×0.8」 | 高め |
Ⅲ型 | 5:5(450:450) | 「450:450」 | 中間 |
Ⅳ型 | 4:6(360:540) | 「450×0.8」:「450×1.2」 | 低め |
Ⅴ型 | 3:7(270:630) | 「450×0.6」:「450×1.4」 | 低い |
(学力検査)1科目90点満点×5教科=450点満点
(内申点)5点満点×9科目×10=450点満点
内申点の計算について補足しますと、
内申点は1年生:2年生:3年生でそれぞれ「1:1:3」の割合が適応されます。
5点満点の評価が9教科ありますので、5×9で「45点満点」です。
それに先ほどの比率を適用すると、「9点満点(1年生):9点満点(2年生):27点満点(3年生)」となりますよね。
この最大持ち点「45点」に10をかけた数字が手持ちの内申点となるわけです。
また、上記の図を見るとお分かりのように、
偏差値の高い高校ほど、「当日点>内申」の傾向にあり、
偏差値の低い高校ほど「内申>当日点」の傾向があります。
試験当日の点数だけではなく、内申点も重要だということは伝わったかと思いますが、
新たな疑問が生まれます。
それは
「中学によって試験が簡単・難しいという傾向があり、内申点の取りやすさも変わるのではないか。」
ということです。
確かに、
「A中学は試験も難しく点数が取りにくい」
「B中学は試験は易しめで点数が取りやすい」
これは同じ地区内の中学校同士で起こりえますし、実際にそういった例をいくつか見てきました。
それでは
「A中学の生徒は不利で、B中学の生徒は有利ではないか。」
ということになりそうですが、その不公平を解消するシステムが大阪府にはあります。
③ チャレンジテストとは
②で述べたように、中学校同士の評価の格差を無くし、より公平に近づけるために導入されているのが、
毎年1月初旬に1年生と2年生、6月中旬に3年生が受験する「チャレンジテスト」です。
中学校の定期試験が難しすぎて、絶対評価における内申点が不当に低くなることを防止する措置として導入されました。
★「調査の目的」★
●大阪府教育委員会が、府内における生徒の学力を把握・分析することにより、大阪の生徒の課題の改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図る。
加えて、調査結果を活用し、大阪府公立高等学校入学者選抜における評定の公平性の担保に資する資料を作成し、市町村教育委員会及び学校に提供する。
●市町村教育委員会や学校が、府内全体の状況との関係において、生徒の課題改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組みを通じて、学力向上のためのPDCAサイクルを確立する。
●学校が、生徒の学力を把握し、生徒への教育指導の改善を図る。
●生徒一人ひとりが、自らの学習到達状況を正しく理解することにより、自らの学力に目標を持ち、また、その向上への意欲を高める。
★「調査対象」★
●府内の市町村立中学校、義務教育学校後期課程及び支援学校中学部並びに府立中学校及び支援学校中学部の第1学年、第2学年及び第3学年
★「調査実施日」★
●第1学年及び第2学年:令和4年1月13日
●第3学年 :令和3年9月2日(例年6月中旬ですが、コロナ禍で2021年度は9月実施)
★「調査内容」★
●第1学年:国語・数学・英語 第2学年及び第3学年:国語・社会・数学・理科・英語
●出題形式:選択式、短答式、記述式
●調査時間:1教科あたり45分
以上のことが大阪府教育委員会より発表されています。
では、チャレンジテストでどれくらいの点数を取れば内申点が上がるのかというと、
残念ながら正式には発表されておりません。
ですが、「チャレンジテスト」の前身である「大阪府統一テスト」では
上位6%が評定「5」、上位18%が評定「4」、上位39%が評定「3」
というデータがありますので、チャレンジテストも概ね似たような基準だと思われます。
なんにせよ、このチャレンジテストで良い成績を収めれば、内申点もちゃんとそれに応じて上がるというわけです。
勿論、日ごろの提出物や授業態度も重要ですよ。
まとめ
それでは、大阪府公立高校入試のシステムをまとめておきます。
■入試形式
1、一般選抜(5教科or3教科の学力検査と、学校の内申点・調査書で合否が決まる入試方式。)
2、特別選抜(美術や体育、音楽等の実技試験・面接を含む入試方式。)
評価方法は「絶対評価」
■受験教科
「国・数・英・理・社」
(「理・社」は共通問題、「国・数・英」は各高校毎に「A問題(基礎)・B問題(標準)・C問題(応用)」が適用される。)
■内申点
5点満点×9科目×10=450点満点
内申点は1年生:2年生:3年生でそれぞれ「1:1:3」の割合が適用=「9点満点(1年生):9点満点(2年生):27点満点(3年生)」
■チャレンジテスト
中学校同士の評価の格差を無くし、より公平に近づけるために導入されているもの。
長くなりましたが、今回は以上となります。
各教科の特徴等はまた次回以降にお話しさせていただきますね。
それではまた次回お会いできることを楽しみにしています。
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